東京の弊社ショールームへお二人でお越しいただき、その場で紙素材や加工についてご検討いただきました。はちみつの恵みを表現したロゴをレイアウトしたデザインがとても素敵で、凹みが特徴のアナログな活版印刷をご提案したところ、気に入っていただきました。ピンクとオレンジのインクを使用することで、さらにそのロゴの魅力を引き出した温かみあるパッケージが完成しました。(担当スタッフ談)
若草色の美しいオイルを口にして、ベリサリオスさんが、「ギリシャのEVオリーブオイルは、美味しさが違う」と胸を張る理由が分かった。サラッと軽い口当たりで果実のフレッシュな香りが広がり、まろやかな味が舌を包み込む。試しに、自宅にあったそれなりのオイルを食べ比べてみたが、雑味があって妙に香りが強かった。
ギリシャ出身で、カナダに移住しマンション管理業を起業していたベリサリオスさんと旅行代理店に勤務していた茉記子さんは、カナダのトロントで出会い結婚。将来を見据え、当時経済不況にあったギリシャでの暮らしよりも、比較的好調な経済状況の日本へ移住を決意した。ところが、妻の地元の三重県四日市市に住み始めてすぐ、ベリサリオスさんは日本で手に入るEVオリーブオイルの質の低さに落胆する。
ギリシャのオリーブオイルの生産量は、世界第三位で消費量は世界第一位を誇る。日本人が、白味噌と赤味噌の味の違いに気づくように、ギリシャ人はEVオリーブオイルの産地や品種、作り手によって変わる味の違いを繊細に感じ分けるのだ。山羊使いの孫で、新鮮なチーズやヨーグルト、採れたてのEVオリーブオイルを食べて育ったベリサリオスさんにとって、日本に流通しているものは求める基準にまったく達していなかった。
250mlのオリーブオイルは、日本専用。ギリシャや欧米では、一週間で250ml瓶を使い切ってしまう。パンやスープ、サラダ等、ありとあらゆるものにオリーブオイルをかけるのがギリシャ流。
「ギリシャの郊外では、市販のオリーブオイルとはちみつを買うことはめったにありません。郊外では、自宅の庭でオリーブを栽培し、養蜂を営んでいるのがよくある光景なのです。オリーブはとても強い木で、水さえあればギリシャ特有の赤土と太陽が毎年たわわに実を授けてくれます。季節が来ると家族総出で木を揺らして実を落とし、村の製油所へ持ち込みます。そこで絞ったばかりのEVオリーブオイルを毎日三食、一年かけて使うのです。最初は、郷土の味が恋しくて自分達が食べる分を輸入したのですが、移住して1年ほどでギリシャ食材の輸入販売のビジネスを始めようと決めました。」
2017年、HELIOS greekproducts(イリオスグリークプロダクツ)を創業。イリオスとは、ギリシャ語で「太陽」を意味し、すべてのギリシャの作物は太陽の恵みを受けていることから、社名に掲げた。当時の日本では、イタリア産やスペイン産のEVオリーブオイルが流通のメインであり、輸入ビジネスの経験がない彼らが競合ひしめく中に割り込む余地はなかった。それでも、一歩を踏み出せたのはギリシャ食材の美味しさが本物だと確信していたからだ。
「元々ギリシャのオリーブオイルは、知名度が低く国内消費がメインでした。ところが、近年のオーガニック志向により、ギリシャでは当たり前だった無農薬のオリーブや無農薬の蜜源から採れるはちみつが、その美味しさを評価され、欧州や北米で輸出が増えていきました。
一方、ギリシャは2009年から続く経済危機で、若者の失業率がとても高い。都市部に住んでいた若者が、地方の両親や親戚の農場で働くようになり、若い世代が農業に携わることが増えていきました。私たちのビジネスパートナーも、同世代の起業家です。
例えば、パートナー企業のNOEMA(ノエマ)は、うちのロゴやラベルのデザインを手がけた、ギリシャ人デザイナーのミハリスさんから『最近、従兄弟がオリーブオイルの事業を始めて、味が良いから、一度サンプルを送らせて欲しい』と紹介されたのが、きっかけでお付き合いが始まりました。オーナーのジャネトスさんは、私たちよりも少し年上で、厳しさと繊細さを兼ね備えたプロフェッショナルな方。彼が手がけるEVオリーブオイルは、美味しさはもちろん、品質管理が素晴らしくて私たちベンダー(売り手)の先輩として、様々なことを学ばせてもらいました。」
イリオスグリークプロダクツで取り扱っているギリシャ産オリーブオイル
ギリシャはちみつの若手養蜂家で、CHRISOMELO(クリソメロ)の代表タバリス・イオアニスさんも、創業当初の立ち上げから尽力してくれた。二人にとってour teamと誇るパートナー企業に恵まれ、イリオスグリークプロダクツは着実に成長を遂げていった。
ギリシャ アテネの郊外 汚染のない山奥にて
クリソメロのはちみつは、巣箱から出したままの状態で瓶詰めした、無添加・非加熱の天然物。無農薬で自生する花から採蜜しているので、安全性が高い。おすすめは、ギリシャ人に一番人気のタイムのはちみつ。
ギリシャから紺碧の海を渡り、はるばる日本へ届いたEVオリーブオイルやはちみつは、全国展開するオーガニックショップ等への卸販売と、催事の店頭販売、オンラインショップの三本柱で顧客の元に届く。ユニークなのが、彼らの拠点である四日市にショップを持たず、オンラインショップをさほど重視していないということだ。
「創業当初から自分の店を持つプランはありません。お客様が来て頂くのを待つのではなく、自分達が全国の催事やマルシェに赴き、店頭に立って日本中のお客様と直接取引をすることを大事にしています。」
商品の評価が高いことから、各地での催事やイベントへの再出展も多くなってきた。搬入搬出の準備は基本的に二人で行う。
「オンラインショップは創業初期から運営していますが、はじめは誰もその存在を知らなくて、一カ月に一本も売上がない時もありました。それでも広告を打ったり検索順位を上げるためのSEO対策に力を入れたことはありません。
私たちは、生産者がどんな考えで商品を手がけているのかを知ってもらい、実際に味を見て、納得した上で購入してもらいたい。全然知らない人にオンラインで見つけて買ってもらうよりも、顔の分かっている人に売る方が嬉しいのです。私たちはなるべく露出することを心がけていて、催事での店頭販売はギリシャ食材は美味しいと広く知ってもらうため絶好の機会だと思っています。オンラインショップは、催事で購入してくれたお客様に継続して購入いただく際にご利用いただいているケースが多いですね。軌道に乗ったのが2年ほど前です。」
現在、数多くの顧客や取引先を持ち全国の催事を飛び回る彼らだが、これまで営業らしい営業に奮闘したことはないのだという。
「Instagramで『実際に商品を見てみますか?』と意気投合してお取引が決まったり、誰かに知り合いを紹介してもらって、サンプルを試食してもらい取り扱いや催事が決まるケースが多いですね。これまであまりストレスなく、人から人へとご縁が結ばれていきました。私たちも扱っている商品を好きでお客様も商品を好きでいてくれて、その好きな気持ちがつながっていったように感じます。」
茉記子さんの話に大きく頷きながら、ベリサリオスさんは「ビジネスだけれど、お金のためだけじゃない。自分の食べる物だから、ナチュラルで悪い物がまったく入っていない、体に良い物を選びたい。その気持ちが『heart to heart』で届いているように感じます。」と熱く語る。
コロナによって世界中が翻弄された2020年。輸入が一時的に滞ったり、催事が次々と中止になった。思うように活動できない時間で、自分達は何のためにこの仕事をしていてどんな事をしたいのか考えて、策を講じることができたのだという。
「これまで不利だと思われていた、ショップがない、事務所がない、従業員がいない点が有利に働いて自分達が動けばなんとでもなると、前向きに切り替えました。
幸いギリシャのパートナー企業は融通を利かせてくれて、商品も手配できたのですが、オリーブオイルを入れるイタリア製の瓶が入荷しないトラブルや、厳しいロックダウンにより夕方以降の外出が制限され、商品を船まで運べないこともありました。
それでも自分達の売り方を変え、アプローチを変えて策を打っていたので、売上としては影響がなかったのです。一度目の緊急事態宣言の際は、地元の方のご自宅まで私たちが直接配送をしました。催事は中止が相次ぎましたが、これまでご購入いただいたお客様が、オンラインショップを利用してくれたので、オンラインの売上は倍以上に。また屋外マルシェから、コロナの影響が少なくて閉店しない商業施設での店頭販売に切り替えました。
Instagramを利用したライブ配信も新しく始めた試みです。自粛が求められていた当時、人に会えないフラストレーションがあったと思います。そこで、養蜂家のタバリス・イオニアスさんに参加してもらって、ライブ配信を開催したんですよ。ヤニスさんはギリシャ語しか話せないので、主人がギリシャ語から英語に訳して、私が英語から日本語に訳して。ハチャメチャだったけれど、すごく面白かった!」彼らは、その時を思い出して「仕事だけれど、楽しかった」と笑い合う。そして、こんな時だからこそ、この仕事の醍醐味に気づいた。
イリオスグリークプロダクツの活躍ぶりはギリシャへも広まり、メディアからの取材が増えてきた。取材はベリサリオスさんが積極的に対応している。
通常、個人で輸入業を営んでいる場合、仲介会社を入れて様々な仕事を分担していることが多いが、彼らは違う。カランパスさんご夫妻は、ギリシャのメーカーとやりとりし、年間計画に基づき発注数を決める。商品を運ぶ船会社の手配や、通関の手続き、商品の輸送と、すべての作業を自分達で行うので手間がかかる分、喜びが大きいのだ。
「お客様が、ギリシャから届いた商品を本当に楽しんでくださる時に、私たちも大きな喜びを感じています。コロナの影響で船の便数が減り、これまで1カ月で届いていたものが到着までに2カ月以上かかるようになりました。その分『よく来たね!』と歓待の気持ちになりますし、Instagramで『やっと届きました!』と報告すると、お客様も一緒に喜んでくれるのです。商品をただ輸入して売るのではなく、そういう想いもお客様と共有できるから、その人達の為にも頑張りたいし、二人だけでやっているのではないと励まされます。」
二人には、畑で野菜を育てながら羊や山羊を飼い、自然に囲まれた生活をしたいという夢がある。ギリシャのライフスタイルを体現し、太陽の恵みが育んだ食材を日本全国で楽しみに待つお客様へと届ける、そんなギリシャと日本をつなぐ架け橋となるのだ。
彼らは、ギリシャの食材の美味しさを日本で広く伝えることで、ギリシャのオリーブ生産業や養蜂業の雇用創出につなげたいと願っている。創業から6年、自分達の活動が実を結んだ実感があるか尋ねてみた。すると「100% Yes!!」と答えが返ってきた。
「創業時からのパートナー、CHRISOMELOは、日本での取引がきっかけとなり、日本やドイツ、フランスへの輸出量が増えています。ギリシャ国内でも、取り扱う店が増えてとても良い状況です。商品の知名度が上がることは、パートナーにとっても私たちにとっても嬉しいことです。」(CHRISOMELOは輸出向け製品の品評会で、デザイン賞greek export awards 2020の金賞を受賞。)
「日本での販売量が増えるにつれて、今までになかった様々な課題にも直面することがあります。これからも高品質を維持しながら、日本へ輸入する分を確保することが一番の課題ですね。」
HELIOS greekproducts イリオスグリークプロダクツ
カランパス ベリサリオス Karampas Velissarios
太陽と海をこよなく愛する、生粋のギリシャ人。日本でギリシャの食文化を伝える活動が認められ、ギリシャのテレビや雑誌の取材を受けている。昨年から、在日ギリシャ人として、ニュース番組にオンライン出演する機会が増えた。
カランパス 茉記子 Karampas Makiko
三重県四日市育ちの日本人。シンプルな味付けで、新鮮な素材を食べるギリシャ料理と、ギリシャの猫たちが大好き。ペットはウサギ。時間を見つけては、庭の畑で土いじりに精を出している。
「ハニースティックスは、約2年の歳月をかけて企画・製品化を一から手がけたオリジナル商品です。2020年の秋、パッケージ作成を依頼する会社を探していた時、羽車と出会い、サイトの完成度や商品の美しさに一目惚れ。私たちの性格上、直接お会いして提案してもらおうと、東京のショールームに足を運び、色々なパッケージを見せてもらいました。」
「ハニースティックスは、自分達が外出の多い仕事柄、はちみつをもっと手軽に持ち歩きたい、気軽にはちみつを摂取する健康習慣を取り入れて欲しいと開発した商品で、小サイズには、5gのはちみつが、1週間分(7本)、大サイズには12本入っています。個包装はどうしてもプラスチック製になってしまうので、パッケージは紙でと決めていました。」
「パッケージのデザインは、うちのロゴを手がけたミハリスさんに依頼しました。落ち着く感じの紙質と活版印刷の雰囲気をとても気に入っています。次回は、そのままの印刷か、または箔押しに変えようかと楽しく検討中です。」
東京の弊社ショールームへお二人でお越しいただき、その場で紙素材や加工についてご検討いただきました。はちみつの恵みを表現したロゴをレイアウトしたデザインがとても素敵で、凹みが特徴のアナログな活版印刷をご提案したところ、気に入っていただきました。ピンクとオレンジのインクを使用することで、さらにそのロゴの魅力を引き出した温かみあるパッケージが完成しました。(担当スタッフ談)
サイズ | 幅 91mm 高さ 91mm マチ 6mm(羽車の既製型) |
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紙 | Cotton スノーホワイト 260g |
印刷 | 活版印刷 |
色 | 基本色・カナリア/ピンク |
価格 | 300個 22,130円 / 500個 25,900円(+税) データ入稿 0円 納期 校了後 8営業日後~ |