「うちは、晩ごはんのときも朝ごはんのときもラジオが流れている家でした。小学校高学年ぐらいからは、枕元に自分のラジオを置いて、好きな番組にときどきメールを送るようになりました。採用されるとうれしかった。
ラジオって、俳優さんも芸人さんも話す内容や雰囲気がテレビとは違うじゃないですか。下ネタも多いし(笑)。それが面白かったし、音楽も言葉も、わたしに届けられているっていう感じがしました。偶然、そのとき自分が考えていることにヒントをくれるような言葉があったりして」。
ラジオの仕事は幼い頃からの夢
当時はSNSの黎明期。「モバゲー」の掲示板で、地域のラジオ愛好者と交流するなど、ただ“聴く”以上の楽しみ方をするようになった。ラジオの仕事を志すようになったのは中学生の頃。高校を卒業すると、大阪芸術大学の放送学科に進んだ。
「実際に放送されるショート・ラジオドラマを作る授業が印象に残っていますね。みんなで脚本を書いてプロの放送作家さんに選んでもらって、FM大阪(現在の「FM OH!」)のスタジオで収録して。それまでもラジオドラマを作ったことはありましたけど、プロの方々と一緒に取り組める機会は貴重で、緊張もしましたし、やりがいもありました。
と言いながら、最初の就職先はテレビ番組の制作会社でした。大学の授業でシナリオを書いたのが楽しくて、映像の仕事がしたくなったんです。在籍したのは2年ほどでしたが、最初があの会社でよかったと今でも思います。大変だったけど、先輩たちがみんな楽しそうに仕事をしていました。入ったばかりの頃に先輩から『頑張っても結果がダメだったらダメだからね』って言われて。キツい言葉のようですけど、納得しました。頑張りを評価してもらえた学生時代とは、そこで決別ですよね。わたしの仕事はバラエティ番組のADやドラマのAP。生活は不規則で、10日続けて家に帰れないこともありました」。
「テレビ制作の現場とシナリオ書きの両立は体力的に無理だと悟って、会社は2年で辞めました。バイトをしながらシナリオスクールに通って、その頃ちょうど、渋谷のラジオが立ち上がるときだったのでボランティアに応募しました」。
シブラジのボランティア業務は多岐にわたる。ミキサーや各種機器の操作、生放送のタイムキーパー、番組をアーカイブにアップロードする際の編集、SNSの更新などだ。出演者が遅刻して、急遽、出演して間をもたせたこともあった。
「いろんな曜日に顔を出していたら、常駐スタッフのお話をいただいて、それは素直にうれしかったですね」。
出演者とのコミュニケーションも大切な仕事
正規スタッフになった後も、仕事内容は幅が広い。朝は8時や9時に出勤し、その日の出演者情報などを確認。午前中に出演依頼や打ち合わせ、区内の取材に出かけることが多いという。区からのお知らせなどは、情報を整理して原稿にまとめ、出演者に渡している。
「あとは、雑談。ここでは雑談が本当に大切です。ボランティアあってのコミュニティFMなので。出演者も、好きで出てくださる方が大半ですが、こちらから情報発信をお願いするケースもあります。だから、このスタジオに来てくださる方とコミュニケーションを取り、楽しんでシブラジに参加してもらうことが事務局スタッフの一番大事な仕事と言っても過言ではないんです。
このスタジオが、寄り合い所みたいになるのが理想ですね。今も、たとえば金曜日には「渋谷の大先輩」という番組があって、平均年齢80歳ぐらいの出演者の皆さんとボランティアの大学生たちがスタジオの前室でお茶していたりするんですよ。友達でもなければ職場の先輩後輩でもない、不思議な関係が生まれるのが面白いです」。
聞き手として意識するのは「発表資料に載らないエピソードや思いを引き出すこと」
「思い出深い番組は、うーん、聞かれると思ったんですが、たくさんありすぎて絞り切れない……。一つ挙げるとすれば、「渋谷の奥さんと」です。
私が大好きな文具とコーヒーのお話をメインに、フリーアナウンサーの堤信子さんと、ディクラムラボ代表の木原誠太郎さん、放送作家の野呂エイシロウさんがパーソナリティーを務める番組で、ボランティアスタッフのときに担当していました。
開局当初から、この番組では、生放送でレコードを1曲流しているのですがこの番組に関わるまで、レコードプレーヤーを使用したことがなかったので、回転数を間違えたり、A面B面を間違えたりと、よく生放送中に失敗をしていました。
しかし、パーソナリティーのみなさまは、その失敗をあえてネタにしてくださり、見守ってくださいました。
今では、大学生のボランティアスタッフが引き継いで、触れたことがなかったレコードを、頑張って流してくれています」。
毎週火曜日は「渋谷緊急ぼうさい会議」という45分番組のパーソナリティを務めている。(ラジオで)話すことが得意ではないという杉山さんだが、コミュニティラジオの防災番組には社会的な意義を感じている。
「(昨年10月に)台風19号が上陸した日は、予定していた番組を取りやめ、災害に関する情報に特化して生放送を行いました。シブラジは渋谷区と防災協定を結んでいるので、何かあれば緊急放送に切り替えることになっています。19号のときは渋谷区全域に避難勧告が出たタイミングで緊急放送を始めました」。
杉山さんは当日の朝10時から区役所に詰めて、直接職員から情報を取ってはスタジオに送ったりスタジオとの会話中継を行った。区内の風雨が落ち着いた23時頃に緊急放送を終了。杉山さんが撤収したのは24時頃だった。
オープンスタジオから生放送
「わたしがラジオをやるモチベーションって、まさに防災なんですよ。災害のときに、人の助けになるような情報を発信する立場でいたくて、ラジオの仕事を続けています。2011年の東日本大震災のとき、わたしは関西にいて被害はなかったけど、パーソナリティが被災地のリスナーとコミュニケーションを取っているのを聴いて、これすごく大事だと思ったんですよね。心細い思いをしている人に、少しでも安心してもらえたら、それがラジオのある意味の一つなんじゃないかと思います。
シブラジは、深夜には渋谷区内で録音した環境音を流しています。録音界の巨匠・増富和音さんが録ったカラスの鳴き声だとか川のせせらぎだとか。(昨年9月の)台風15号のときはそれで『シブラジつけたら鳥の声が聞こえたぞ(災害情報は放送しないのか)』というお声もありました。いざというときに頼ってもらえるラジオ局になれるように災害情報の発信には力を入れたいです」。
これからについて
「福山雅治さんのラジオを聴いていた中学生が、スペシャルファウンダーでもある福山さんも関わるラジオ局に、今は放送する立場で携わっている。少し不思議な感覚です。今は、ラジオ局の現場責任者として、さまざまな判断を下さなければいけない立場でもあります。
視野を広げて学ぶ姿勢を忘れることなく、変化を恐れず、常に楽しんでいきたいです。
渋谷のラジオのことでいうと、もっと人と人とをつなげたいなと思っています。この人とこの人を会わせてみたら面白いことが起きるかなとか。シブラジに関わる人同士でコミュニティが生まれたらいいな、何かコラボができないかな、そういうことをぼんやり思い描いています」。
渋谷のラジオ 87.6MHz
東京都渋谷区渋谷3-22-11 サンクスプライムビル1階
shiburadi.com
Twitter @shibuyanoradio
「幼なじみが羽車で働き始めたのが縁で、羽車さんにお願いしました。フリーランスの時に作った名刺です。今はシブラジの名刺もあるので、こっちは紙好き、雑貨好きの人に渡すようにしています。絶対、喜んでもらえるので。
自分の名前に「桃」が入っているので、桃のカードが目に入って、これを名刺にしたいと思いました。インパクトがありますよね。桃の部分がぷっくりしているので触りたくなりますし。」
桃がぷっくりとした立体感あるカードを使用(700番シリーズ「もも」)
「メッセージカードの方は、仕事でお世話になった方にお渡しすることが多いです。いろんな人と関わっていると、何か頂戴したり、お世話になったりすることが多いので、ちょっとお礼を言いたいとき、何かお返しをしたいときに、こういうものがあると便利だと思って。裏側に小さく「LOVE」と入っているのがこだわりです。気づいてもらえたらうれしいなと思ってそうしたんですが、渡しながら自分で言いがちです(笑)。」
コミュニケーションツールとして活躍するメッセージカード。こだわりポイントは「love♡」のカラ押し
サイズ | 91 × 55mm(700番の名刺) |
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紙 | No.700 もも ネームカード |
印刷 | 活版印刷 |
色 | 表1色 ネイビー |
価格 | 100枚 14,900円 / 200枚 20,300円(+税) データ作成料 3,000 円(+税) |
納期 | 校了後4営業日 |
サイズ | 91 × 55mm(ネームカード) |
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紙 | No.57ボーダード ネームカード ボルドー |
印刷 | 活版印刷 |
色 | 表1色(ダークレッド)・裏1色(空押し) |
価格 | 100枚 18,860円 / 300枚 24,580円(+税) データ作成料 3,000 円(+税) |
納期 | 校了後5営業日 |