「友達をつくるのも難しいくらい、おとなしい子どもでした。でも、お気に入りの洋服を着る時だけは、気分が明るくなったんです。高校時代は原宿系ファッションの全盛期。高い服は買えないけれど、唯一手を出せたのがグラフィティTシャツ。自分でもマッキーやポスカでグラフィティアートをノートに描いていましたね。」
「高校を卒業するころ、世間は就職氷河期でした。文化服装学院に通っていた姉や、美大生だった姉の友人らも就職先を見つけるのに苦労していました。アートを学んでみたいけれど大変そう、それよりは経済を学んでファッション業界で働けたらいいなという気持ちで、いくつか経済学部を受けましたが、結果はまさかの全滅でした。」
絶望から愛子さんを救ったのは「これからはインターナショナルな時代」というお母様の一言でした。もしアートを学びたいのなら海外へ。それならば応援すると言ってくれたのだそう。「父は大反対でしたけどね。海外生活はハプニングの連続でした。最初に行ったのはテキサスの大学。でも、そこにはファインアートの学部しかなく(日本でいう芸術学部)、グラフィックデザインのクラスは1つしかありませんでした。自分が学びたいことをしっかり学べる場所へ、と2年半後にブリッジウォーター州立大学芸術学部グラフィックデザイン学科に転学しました。」「ただ、私が思い描いていたようなグラフィティとは全然違って、インダストリアルがメインで。これは困ったな、と思いつつも、出会った教授に恵まれて、臆せず自分がいいと思うものを作っていました。そして、5年半の留学生活を経て、無事に帰国しました。私、すごくしぶといタイプなんですよ(笑)実は渡米する飛行機の中で誓いを立てていました。アメリカでインターンシップをすること。大学を卒業すること、しっかり英語を学ぶこと。それらを絶対に叶えて帰ると決めていたので、帰国したくなるような辛い時期もあったけれど、それが自分の支えになりました。」
Adobe協賛「MAKE IT ON MOBILE 2017 in NYC」での様子。Social Media Challengeでは見事優勝した。
「帰国したとき、日本はちょうどリーマンショック。ITにコスメにと、あらゆる企業のクリエイティブ職を受けましたね。デザイナーの試験というのは、「時間内で新商品を考えてください。」というような課題が多い。いくらアイディアが頭に浮かんでも、それを短い時間で形にするには、デッサン力が必要です。いざ試験を受けてみると、自分には基礎力が足りていないことに気付き、デッサン教室に通い始めます。」
「その後、グラフィックデザイナーとして就職が決まり夢が叶いましたが、絵を描くことが楽しくて就職しても通い続けました。フリーランスとしてイラストに専念している今でも続けているんですよ。写実的なイラストを描いているせいか、どんなモチーフでも描けると思われることがあるのですが、うまくいかずに描き直すこともざらにあるし、理想のイメージを形にできず歯がゆい想いをすることも未だにあります。基礎の大切さを痛感しているからこそ、デッサンを学び続けようと思っています。」
GINZA234号FABER-CASTELL×KARL LAGERFELD / 2016(マガジンハウス)
「もしこれを読んでいる人で、イラストを描いている人、フリーランスを目指している人がいるとしたら、声を大にして伝えたいのは、何より「諦めないこと」です。受験に失敗して、大学選びも就職活動も一筋縄ではいかず試練の連続。でも目の前の試練に逃げずに自分と向き合った結果、プロのイラストレーターの道を歩むことができています。時間をかけてプロになったように、制作もコツコツ型なんです。ちょっと描いて寝かす。すると顔料が紙と馴染み風化して、色の変化を感じる。良くなったり物足りなかったり。また少し描いて、また寝かす。毎日手を加えていきます。イメージに少しずつ近づいていく瞬間にやりがいを感じますね。」
ニューヨークにて海外初個展「Shape of Love」at SBC Art Studio, 2018
Photo by Kotaro Saito
これからについて
「デザイナーとして働いていた会社を離れる際に、これからは自分にしかできない仕事をしよう、と決めました。現在、アドビ・クリエイティブ・レジデンシーというAdobeのプログラムで日本初アーティストとして今年選ばれ、自分のやりたかったARを使ったクリエイションにこの一年挑戦中です。お願いされたものだけを描く商業イラストレーターから脱皮して、今の自分にしか描けないイラストレーションを形にしていきたいです。」
「今の環境に点数をつけるなら100%満足!今後は、イラストを軸とした総合プロデュースに興味があります。例えばホテルの一室を壁からソファーから、食器までデザインするとか。ウィンドウディスプレイの提案とか。イラストレーションってどんな分野にも繋がれるから、夢に向かって行動し続けていれば、いつか叶うって思っています。」
FUKUDA×URBAN RESEACHコラボ展 2018
AIKO FUKUDA×DiCesare Designコラボ傘「Curiosities」
福田愛子
www.aikofukuda.com
Instagram @aikofukudadraw
ブリッジウォーター州立大学芸術学部グラフィックデザイン学科卒業・2014年よりイラストレーターとして活動を本格化させる。幼少時代からファッションに興味を持ち、母や姉から譲り受けた洋服たちを自分流にアレンジして着るのが好きな子どもだった。ものに宿る「懐かしさ」や「思いで」「世代を超えたタイムレスな美」の価値観が、後にイラストレーターとして生きる彼女のクリエイションの基盤となる。ペン画を軸とした繊細はタッチはデジタルの世界でも変わることなく、紙とデジタルを掛け合わせた既成概念にとらわれない表現のあり方を追求している。
羽車を知ったきっかけは、海外への売り込みを考えていた頃でした。同業者の友人にヒアリングしてみると、手ぶらはダメという声が多かったんです。多忙なエディターはゆっくり話をする時間もない。覚えてもらうためにも、何かを残していくようにアドバイスしてもらいました。ちょうどその頃、スペイン人のイラストレーターの友人が、NYへ売り込みをしていたのですが、羽車でグッズをつくったと聞いて。それを見せてもらったら紙の質感・印刷の美しさに魅せられ、羽車ショールームを訪れました。
私の絵は線が細かったり点描も多いのですが、細かいところまで美しく印刷されていたので、とても感激しました。イラストに合わせて型抜きしたミニカードは、ちょうど一筆書くのにちょうどいいサイズなんです。本来の目的である営業用に手渡すだけでなく、請求書などにお礼の言葉を添えるのにも役立っています。あの人には、どのカードにしようかな。と選ぶのも楽しいですね。
サイズ | 105 × 150mm(Pカード) |
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紙 | コットンスノーホワイト 348.8g |
印刷 | オフセット印刷 |
色 | 蛍光レッド (エッジカラー加工の蛍光レッドは現在廃色) |
価格 | 100枚13,680円(+税) / 200枚15,860円(+税) データ入稿 |
納期 | 校了後6営業日 |
サイズ | 約91 × 55mm(ネームカード) |
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紙 | コットンスノーホワイト 348.8g |
印刷 | オフセット印刷・型抜き(ダイカット)加工 |
色 | スカーレット・スカイ・ブラック |
価格 | 200枚25,060円 / 300枚26,090円(+税) データ入稿 |
納期 | 校了後5営業日 |